放っておくと進まない仕事を進めるために

はてなは 7 月決算なので期のふりかえりをやっていたんだが、今期は「放っておくと進まない仕事を進めるために、時間を確保する」ことで進むようになった期だった。ちなみに前期は「放っておくと進まない仕事を進めるために、締切を設定する (強制力を持たせる)」ことで進めようとしていた期だった。

放っておくと進まない仕事とは、優先順位が低い仕事のこと。やってもやらなくても直ちに影響はない仕事をどうやったら進められるのかというのは長年ずっと課題だったが、やっと自分の中である程度答えが見えてきたかもしれないので記しておく。書き出してみたら至って普通なんだけど、以下をやっている。

  1. 見積もる
  2. 締切を作る
  3. 締切を宣言する
  4. 時間を押さえる

見積もる

チームで見積もりを行い、まずはタスクの重さや実現方法についての共通認識を持つ。

タスクを分解する、とも言い換えられる。やるべきなんだけど気が重い仕事はとにかく分解しまくる。それでも手が付かないならもっと分解する。最終的には「作業ディレクトリに cd する」まで分解する。

なお、この 5 秒で終わる状態になっていてもまだやらないことが経験により分かっている。これは自分が内心で cdだけやっても成果が出ないことを知っているからだろう。

だったら分解する意味は無いのか?と思うかもしれないがそんなことはなく、リストを人に見せておくと「 cd した?」という問い掛けが発生するので、作業に取りかかるキッカケを増やす役に立つ。僕のことは赤ちゃんだと思ってマイクロマネジメントして欲しい。

締切を作る

締切が無いから際限なく延びるので、まずはタスクの締切を設定する。ここで無理な締切を置いても結局実行できない (何度も痛い目を見た) ので、前段でちゃんと見積もられている必要がある。

締切を作ってタイムラインに載せることで、後ろにも仕事が詰まっていることを実感させ、本当の締切 *1 や裏の締切 *2 が実際には存在しないことを可視化する。

また締切を置くことで、他人からも遅延が見えるようになる。これも他人にマイクロマネジメントして貰うコツだと思う。

締切を宣言する

締切を作ったところで、守る気が無かったら意味が無い。脳内の優先度を上げる策として、前々期は昼会の中に「id:onk が今日終わらせるタスクを宣言する」というコーナーを作った。

この脳内優先度ってヤツが厄介で、ADHD 特性を持っていると、新しいイベントが常に優先度最高で割り込んできてしまう。なんとか対抗するために 一貫性の原理 を使い、自ら宣言することで、強い気持ちで優先度を高く保ち続けようとした。

「今日中にコレとコレが終われば」と言い聞かせることで、帰る/寝る前に本当に終わっているかを見返すことが可能になり、進捗するという算段だったのだが、この作戦を採る段階ではまだ「睡眠時間を犠牲にすればなんとかなるんじゃないか」のような甘い考えが傍らにあるので、次の「時間を抑える」も行う必要がある。

当時のふりかえりを見るとボロクソに言われている

時間を押さえる

これはカレンダー上で作業予定を入れてすべてをブロックしてしまうと言う作戦。

新しいイベントが常に優先度最高で割り込んでくるなら、Slack を落とすことで刺激を減らせば良い。反応できないことを宣言するためにカレンダーも埋めておく。

ただこれだけで進むかというとやっぱりダメで、Slack を落としてもすぐに起動してしまう (完全に手癖) ので、更にペア作業時間として相互監視を行うことで進捗するようになる。完全にペア作業じゃなくても、配信することで緊張感が生まれるようだ。コロナ禍によりさぎょいぷが流行ったのは良い効果があった。

一人でもなんとかできるようになりたくて、リズムを作れば行けるはずだと思ってポモドーロは毎年何度も挑戦しているんだけど、まだ上手くいってない。何らかの強制力が閾値を超えないのだろう。例えば Blurred のようなツールと組み合わせてどんどん刺激を下げていくと、どこかで閾値を超える日が来ると思って模索はし続けている。

イベントにする

もう一つ、「イベントにする」という作戦にも触れておきたい。具体的には開発合宿とかバグ退治 Day とかがコレに当たる。これは僕の特性というよりも「チームで優先度が上がらない仕事」に対応する方法。

ロードマップに載せるほど優先度が上がりきらないが、やりたいタスクというのはどうしても存在する。

優先度が上がらないのは他の重要度が十分に会話されているタスクに押しのけられてしまうからで、本当は「重要度を説明する」が正しい進め方だと思う。しかしそんなコスト高いことはやってられないので、すべてサボって信頼だけで進めたい。そこで開発合宿という「なぜか分からないが成果が出ることが分かっている」という信頼貯金を使って技術的スパイクを実施し、プロジェクトチーム内からプロトタイプを作るコストを軽減する。

イベントにすることで非日常感を作れ、周りが協力的になるので一石二鳥。

最近のはてな社内は、イベント仕立てをうまく使うチームが増えてきたように思う。個人の危機感をチームのタスクに変えていく術として、みんなの引き出しに収まったということなのだろう。

*1:バッファをすべて食い潰した締切

*2:輪転機が稼働する直前のこと。本当の締切の後に設定される